第130章

星海グループ。

オフィスの中で、田中尚哉は書類に目を落としていた。そこへ助手が入ってくる。

「田中社長、弁護士の方がいらっしゃいました」

「弁護士?」

田中尚哉が顔を上げると、助手はどこか言いづらそうな表情をしている。――ああ、分かった。大島莉理の、離婚の代理人だ。

「会わない」

「田中社長、いつまでも私を避けていただくのは困りますね」

扉が開き、鈴木薫が入ってきた。

本来なら、招かれもしないのに勝手に踏み込むなど論外だ。それでもこうするしかない。田中尚哉という男は、あまりにも狡猾だった。

離婚の話題を出すたびに、彼は要点を外してはぐらかす。正面から返事をしない。挙げ句、面...

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